映画『メタモルフォーゼの縁側』であの頃の自分も今の自分も肯定できた。

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©2022「メタモルフォーゼの縁側」製作委員会

6月17日(金)公開の「メタモルフォーゼの縁側」拝見しました!

芦田愛菜さん、宮本信子さんが58歳差の親友になる?!

なにわ男子・高橋恭平さん演じる主人公の幼なじみに癒されます♪

『メタモルフォーゼの縁側』はこんな映画!

映画『メタモルフォーゼの縁側』とは?

「このマンガがすごい!」など数々の漫画賞を受賞した鶴谷香央理の傑作漫画を映画化!
さえない女子高生・佐山うららを芦田愛菜が、夫に先立たれ孤独に暮らす老婦人・市野井雪を名優・宮本信子が演じる。さらに高橋恭平(なにわ男子)、古川琴音、生田智子、光石研など多彩なキャストが脇を固め、傑作漫画を岡田惠和の脚本で映画化が実現!
それぞれ別のさみしさを抱えたうららと雪が、BL漫画を通じて友情を育み、最初の青春と最後の青春が輝くさまを感動的に描く。
歳の差58歳の二人のかけがえのない青春が起こす奇跡とはー。

「メタモルフォーゼ」は「変形」「変身」「変容」「転身」という意味です♪

いいタイトルだなぁ!

映画館で観る映画の選び方①

映画『メタモルフォーゼの縁側』を観たいと思ったきっかけは、映画館で流れていた予告をみたこと。

お目当ての作品が上映されるまでのあの時間、結構好きです。

全部にアンテナを張り巡らせるのは難しい中で、ふいに流れてくるCMや予告が素敵な出会いに繋がることってありますよね。

この作品もまさに”出会えて良かった!”と思える作品でした。

映画館の予告でどこに惹かれたかというと、「女子高生と老婦人がBL漫画を通じて友情を育む」というのが、ある意味ファンタジーのような、でもそんなことがあったら何か幸せだな、と思わせる内容だったから。

あと、BL漫画好きの芦田愛菜さんを見てみたいな、という興味からですね。

やはり子役のイメージが強いと思いますが、映画『星の子』(2020)の演技も素晴らしかった。

家族も大切だけど、中学生になると”自分の家族の価値観”が果たして正しいのか疑問を持つようになり、そこに淡い恋心が絡むという繊細なお芝居が印象深いです。

なので、今作もBL好きの女子高生をどんな風に表現されるのか、期待大で鑑賞しました!

私は涙腺かなり緩い方なので皆さんの感覚とは違うかもしれないけど…芦田愛菜さん演じるうららが自分の内面と語らうシーンは自分の思春期を思い出して、ボロボロと涙が出ました😢

映画館で観る映画の選び方②

「この映画観てみたい!」と思える作品を、映画館の予告で発見する。

その他に、出演している俳優さんのファンだから、というきっかけは大いにありますよね。

私自身は俳優さんで完全なる推しはいないので(ミュージシャンはいます!)、「この俳優さんが出ているから絶対観る!」ということはあまりないけど、例えば「役所広司さん主演は見たいなぁ」とか、俳優さんの演技に期待しちゃうことは多々あります。

また、監督さんで選ぶこともありますよね?

最近だと深田晃司監督の最新作「LOVE LIFE」(9月9日公開)はとっても気になっています。どんな内容かは知らなくても、深田監督ならきっと想像以上に心に刻まれるもやもや体験を与えてくれると期待して。

もう一つ。皆さんは脚本家さんで選ぶことはありますか?

深田監督のように監督自身がオリジナル脚本を書くというケースも多いですが、脚本家さんに注目して映画を選ぶのも面白いです。

今回ご紹介した映画『メタモルフォーゼの縁側』は岡田惠和さんの脚本

岡田さんの脚本の作品、ドラマも映画もたっくさんありますが、ほぼすべて好きです。(全部は観ていないので”ほぼ”にします)

脚本家さんという存在を知ったのは、朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」(2001年)がきっかけでした。

朝ドラはそれまで一度も見たことがなかったのですが、沖縄の家族(古波蔵家)の明るさと作品全体に流れる温かな雰囲気に癒され、一気に虜になりました。

好きすぎて物語の舞台・小浜島へも行きました。

シュガーロードを自転車で下ったり、「ちゅらさん」の家(こはぐら荘(大盛家住宅))を見られて至福の旅でした!

その脚本を担当していたのが岡田惠和さんという方だと知ってから、脚本家さんによって作品の色合いがこんなにも違うんだと感じられるようになりました。(小説家さんの文体も好みが分かれますが、それと似ていますね)

実は、映画『メタモルフォーゼの縁側』は、”素敵な作品だったから紹介したいな~”と思いながらエンドロールを眺めていたら、岡田惠和さんのお名前が!

つまり何も知らずに観ていたら、岡田さん脚本の作品だったということ。恐るべし”ちゅらさんDNA”!岡田センサーが私には備わっているのかも!

他にも『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2017)は姪っ子が観たいというので一緒に何となく観に行ったら、結果大号泣で、『世界から猫が消えたらなら』(2016)は猫があまり得意ではないので、”世界から猫が消えても全然大丈夫だけど…”と思いながら観に行ったら、観終わった時には”猫!居なくならないで!”と180度考えが変わっていた。

自分好みの脚本家さんを見つけるというのも、映画鑑賞の面白さのひとつですね。

雪さん(宮本信子)の”フッ軽”さと紡くん(高橋恭平)の”ナチュラルな優しさ”

タイトル回収。”あの頃の自分も今の自分も肯定できた”について。

芦田愛菜さん演じるうららはBL好きの女子高生。自分がBL好きなことは母親にも幼なじみにも秘密にしている。

これ、わかるなぁ。私はBL好きではなかったけど、誰もが知っている王道漫画を好きだというのは公言できるけど、大好きなのに人には言えない漫画、あったなぁ。(今もある)

そこに現れるのが、歳の差58歳の老婦人・雪さん。

雪さんが何となく表紙に惹かれて手に取ったBLコミックがきっかけで、2人のちょっと不思議な交流が始まる。

大好きなもの(漫画、音楽、映画)について熱く語りたいけど、こんな暑苦しい話を誰にしたらいいか分からないし、ドン引きされたらショックなので、ひたすら一人で嚙みしめるように楽しむ。それはそれで楽しいけど、猛烈に誰かと共有したくなる時がある。

私はアナウンサーが本業なので話すことが仕事なのだが、実際のところは人見知りだし、新しいコミニティーに飛び込むのは苦手なので、うららの心中、手に取るようにわかりました。

宮本信子さん演じる雪さんが、チャーミングで衒いがなくて本当に素敵!

年齢を重ねることで勝手に育まれる包容力ではなくて、雪さんがこれまで様々なことを経験してきたんだろうな~と思わせる深みが滲みます。

高校2年生のうららは、自分の将来についてのモヤモヤや、クラスメイトへのコンプレックス、自分に対するイライラ…言葉にできない思いで頭の中がいっぱい。

そこで、これまでの生活ではまったく関わることのなかった老婦人・雪さんの存在だ。雪さんの言葉が霧がかかったうららの頭の中をすっとクリアにしてくれる。

雪さんの言葉を聞いていると、うららばかりでなく観ている私も、悩み多き高校生のあの頃があったからこその、今だと思える。

また、40代になってみると、その年齢なりの悩みが皆さんありますよね?

いま頭をもたげるのは、この先、歳を重ねることをなかなかポジティブに捉えられないこと。

気力、体力、健康…どれも今よりも衰えると思い込んでいた。

雪さんのように、BLという新しい発見も軽やかに柔軟に取り入れられる、その”フッ軽さ”は羨ましいと同時に、「そうか!体力は落ちても、気力は今ままで以上にUPできる!」と未来に光が射した感覚だった。

それから、忘れてはいけないのは、うららの幼なじみ、なにわ男子の高橋恭平さん演じる紡くん

ある意味、罪な男の子なんだけど、素直さと優しさに癒されました!

(作品全体に流れる温かさの要因は、雪さんと紡くんの貢献度5:5だと私は思います)

あと一歩を踏み出せない皆さん、ちょっと癒し不足の皆さんにおすすめの作品です!

玄関ではなく、縁側で靴を脱いで上がる懐かしさ、安心感がたまりません。

縁側で食べる○○って、何であんなに美味しんでしょうね?

ちょっと疲れた時に、定期的に観たくなる作品です!

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