vol.131 『カツベン!』東京国際映画祭 レッドカーペット取材

カツベン! 【過去記事】シネマクエスト「神取恭子のシネマコラム」

いよいよ今週!

夏に周防正行監督にインタビューさせてもらった『カツベン!』(vol.111)が、いよいよ今週公開になる。

作品は随分前に拝見したため、自分の中で熟成され、“早くもう一度劇場で観たい!”と思うこの頃。

10月31日、東京国際映画祭で「GARAスクリーニング作品」として上映され、それを記念したレッドカーペットセレモニーが六本木ヒルズアリーナで行われた。

スチールと、あわよくばサウンドバイツ取材も出来れば…と会場入りしたら、古巣メ~テレのクルーを発見。

去年の『愛がなんだ』の時のように、急遽「インタビュアーやって!」と言われ、快く引き受けさせていただきました。

登壇は、周防監督、主演の成田凌さん、黒島結菜さん、永瀬正敏さん、高良健吾さん、音尾琢真さん、渡辺えりさん、小日向文世さん、竹野内豊さん。

好きな役者さんばかり!

今回は、成田さん&黒島さん、渡辺えりさん&小日向さん、周防監督にサウンドバイツ(レッドカーペット上でのインタビュー)させてもらいました。

干物で成田さんを好きに?

華々しく監督、キャストがステージ登場し、挨拶、質疑応答、フォトセッションが終わると、いよいよお客さんや報道陣の待つレッドカーペットへ。(登壇者が多いため?二人ペアで)

まず、話を伺ったのは、渡辺えりさん&小日向文世さん。

渡辺えりさんが演じるのは、成田凌さん演じる、活動弁士を夢見る青年・染谷俊太郎が転がり込む、芝居小屋“靑木館”の女将さん。

小日向さんは“靑木館”のライバル“タチバナ館”の嫌味な社長を演じている。

ーー周防監督に先日お話を伺ったら、「渡辺えりさんと竹中直人さんは放っておいて大丈夫」と仰っていました。

渡辺さん「いえいえ(笑)。今回、『Shall we ダンス?』と同じ役名だったので、かかあ天下で青木(竹中さん)をいじめている豊子のイメージを大事にしながら、100年前の気位が高くて、実は内面が少女のような女性を意識して演じさせていただきました。」

ーー小日向さんはとてもいい人のイメージがあるのですが、今回は悪い役でしたね?

小日向さん「悪役の方が意外と僕は楽しかったな。いい人は難しいな。」

ーーご本人はどちらですか(笑)?

小日向さん「いやいやいや(笑)!」

渡辺さん「いい人ですよ(笑)!いい人だから、悪い人の観察力がすごいなと思って、それがすごく可笑しかったの。」

ーー今回の橘社長役のポイントは?

小日向さん「ポイントは、杖で音尾くんを殴るところ!“どこを殴るんだろう?”と思ったら、周防監督が、“一番痛い弁慶の泣き所(すね)を狙え”と、嬉しそうに言っていましたよ(笑)。」

ーー主演の成田凌さんはいかがでしたか?

小日向さん「本当に好青年ですよ。羨ましいです(笑)。自分の25歳のころはあんなに明るくなかったですよ。」

ーー“カツベン”シーンもご覧になりましたよね?

小日向さん「練習をずいぶんしたんだろうなぁ。あれは大変な役ですよ。でもそれだけ練習したのがちゃんと表れていました。堂々としていましたね。」

ーーえりさんはいろいろな活動弁士を見守る女将さんの役でしたが?

渡辺さん「最初は大丈夫かな?と思っていたんだけど、すごく勉強していたから、さすがだなと思いました。(成田さんを)最初嫌いだったんです。感じが悪くて(笑)。本当はいい人だったんだと分かって、だんだん好きになりましけど(笑)」

小日向さん「意外と好き嫌い激しいから(笑)」

渡辺さん「芝居を観に来てくれて、ひと箱、魚をもらったの。それで好きになってしまったの(笑)!」

続いて、成田凌さん&黒島結菜さん。

黒島さんは、女優を夢見る、俊太郎の初恋の相手を演じている。

ーー錚々たるメンバーの中で主演として真ん中に立ったお気持ちは?

成田さん「これだけの方がいたら面白いに決まっているので、僕は立っているだけで十分です!」

ーーそんな事はないです!“カツベン”シーン、すごかったです!成田さんがあんなに色んな声を出せるとは知りませんでした。

成田さん「練習しましたよ~。」

黒島さん「練習、本当にすごかったです!私も隣でカツベンをするシーンがあったので、一か月くらい練習させてもらったんですけど、成田さんは練習の時からすごかったです。」

ーーどれくらい練習されたんですか?ご苦労はありましたか?

成田さん「半年くらい練習しました。馴染みのない話し方なので、最初の二か月くらいは、何もできない状態でしたね。監督やプロデューサーの前で練習する会議室が本当に毎日怖かった。苦労というより怖かったです!」

ーーそこから抜け出したのはどんなタイミングだったのでしょうか?

成田さん「本番直前ですね。現場に行って、観客の皆さんがいて、カメラがあって、その時に物凄いエネルギーを感じて、ちゃんと出来ました!」

ーープロですね!黒島さんは女優さんの役で、大正時代なのでお着物を着ての演技でしたが、ご苦労はありましたか?

黒島さん「所作は気にしてはいたんですけど、やはり梅子という役の素直さだったり、一途さが皆さんに伝わればいいなと思って演じました。」

ーーすごく可愛かったですよね!

成田さん「半端じゃないですよ!『カツベン!』の中の黒島さんは最高ですよ!」

ーーモノクロで映った時も・・・

成田さん「分かります。モノクロで映った時の横顔・・・。」

ーー好きですか?

成田さん「好きです!大丈夫ですか?変な切り取りしないですよね(笑)」

ーー大丈夫です(笑)。たくさんの諸先輩方いらっしゃいますが、その中で学んだことはありますか?

成田さん「やはり周防監督の作品にずっと出られている竹中さんや渡辺えりさんが空気を作ってくださって、作品の中の温度感はお二人が作っているので、その“どこまでやるんだ?”みたいなのは教えてもらいました。」

ーーえりさんは先ほど、最初は成田さんのこと嫌いだったと仰っていました(笑)。

成田さん「ずっとそうですよ。僕の居るところでも居ないところでも(笑)」

黒島さん「ずっと言ってましたよ。私にも“あの子何なの?!本当に嫌!”って(笑)。」

ーーでも魚をもらったら好きになったそうです。

成田さん「そうなんですよ!舞台の差し入れで、忙しくて料理も出来ないだろうからと思って、干物セットを。」

ーーそれがバッチリだったみたいです。

成田さん「そこからだったんだ!だいぶ後ですよ(笑)。」

最後に、周防監督。

ーー名古屋でもお話伺いましたが、改めてよろしくお願いします。さきほどのステージでの挨拶でキャストの皆さんも監督も、撮影がとても楽しかったと仰っていましたが、そういう現場はなかなかないのでは?

周防監督「ね!本当はそういう現場は怖いんですけどね。」

ーー何故ですか?

周防監督「出来上がったら楽しくなかったら嫌だなぁと。でも完成したものも楽しかったということで良かったです!」

ーー岐阜県下呂市でも撮影されましたけど、いかがでしたか?温泉に入ったりは?

周防監督「温泉ね、入る時間すらなかったんですよ。あの辺りは芝居小屋が多いんですよ。本当に綺麗に残っていて、ロケハンで芝居を見せていただいて。聞いたら、昔は娯楽がないので自分たちで歌舞伎を作っていたそうです。そういう場所に行けたのが本当に良かったです。」

ーーどのシーンも印象深いと思いますが、振り返ってみて、このシーンは良かったなというシーンは?

周防監督「黒島さんと成田さんが“カツベン”の掛け合いをするシーンがあるんですよ。これが“あ、この映画の一番のラブシーンだ!”と思って、演出していてすごく楽しかったです。」

ーーさきほど、黒島さんは、ものすごく練習をしている成田さんを見ていたと仰っていましたが、監督ももちろんそういう姿をご覧になっていたんですよね。

周防監督「その成田さんと掛け合いをしないといけないので、黒島さんは結構プレッシャーだったと思う。その時、成田さんはかなりのレベルだったので、黒島さんは地声がそんなに大きくないんですけど、発声をやって、本当にいいシーンになったと思います。」

ーーやはりこの映画の一番の立役者は成田さんですか?

周防監督「そうです!活動弁士の喋りがプロじゃないとこの映画は台無し。だって、ほとんどの人が活動弁士の喋りを聞いたことがないもん。だからこの映画を観て“活動弁士の喋りって面白いな”と思ってもらわないと成立しないんです。そういう意味では成田さんの頑張りが一番でしたね!」

永瀬さん&高良さん、竹野内さんさん&音尾さんインタビューもお隣で聞いていましたが、皆さんとても楽しそうにお話されていて、この『カツベン!』の現場の充実が伝わりました。

活動弁士が子供たちの憧れだった映画黎明期のお話。

現代の映画好きの皆様、100年前に思いを馳せ、今一度、「やっぱり映画っていいなぁ」と思わせてくれる作品です。

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