“#Me Too”運動を爆発させた、大物映画プロデューサーによる性的暴行事件の調査報道。
ピューリッツァー賞を受賞した、ニューヨーク・タイムズ紙のこの衝撃のスクープを完全映画化!
ジャーナリストの魂の取材活動と、告発を決意した被害者たちの思いをしかと目撃すべき作品だ。
魂を込めた報道について、考えた。
伝える覚悟
私は、毎日ニュースを読んでいる。
本業は映画のコラムニストではなく、フリーアナウンサー。
月曜から金曜まで毎日、ニュース番組のナレーションを担当している。
毎日起こる事件、事故。その続報。
事実を正確に、わかりやすく、どうやったら伝えられるか。
本番ギリギリまでの取材、VTR作成、チェック。
言葉通り、バタバタの現場。
私の役割は、皆で作り上げたVTRに最終的に声で命を吹き込むこと。
拘ったらキリがないような微妙な言い回しの違いも、本番直前まで最善の言葉を探す。
故に毎日小走りでナレーションブースに駆け込むことに。(アナウンサーは決して走ってはいけないのです。息が乱れないように!)
『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』を観て、改めて、魂を込めた取材とは何か…圧力をかけられ、その責任に押し潰されそうになりながらも最後までやり遂げることの難しさ…被害者に本当の意味で寄り添うとはどういうことなのか…。様々な思いが押し寄せてきた。
このスクープを報じた記者の女性二人には家庭があり、小さな子どもを抱えながらの取材活動だった。
劇中には記者たちの取材風景とともに、家庭での家族とのやり取りも描かれている。
これは、ジャーナリストという職業の、普通の母親たちが、巨大権力に挑んだ記録でもある。
被害を受けた女性たちが不当に扱われることが常態化した世界をひっくり返す。
彼女たちの覚悟を目の当たりにして、私はニュースを伝える立場だが、決してジャーナリストとは名乗れないと痛感した。
だからこそ、自分の役割を再確認することができた。
私は魂の取材はできないが、声を使って伝えるべきニュースを魂を込めて届けることができる。
疑問や不安を感じた時に、私たちは自分ができることで、行動をおこせばいいのだと勇気をもらえた。
まずは自分のまわりの世界だけでも小さな変化をおこせるかもしれない。
『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』を解説
『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』とは?
2017年、ニューヨーク・タイムズ紙に衝撃のスクープが掲載された。
後に“性犯罪告発運動”#MeToo運動を爆発させたハーヴェイ・ワインスタイン事件―。『パルプ・フィクション』『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『恋におちたシェイクスピア』『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ『英国王のスピーチ』ら数々の名作を手掛け、ハリウッドで“神”と呼ばれた映画プロデューサーの数十年に及ぶ性的暴行事件を告発したその記事は、翌年ジャーナリズムの権威であるピューリッツァー賞を受賞、さらに映画業界や国を超えて世界中の性犯罪、セクシャルハラスメントの被害の声を促した。本作は名もなき女性たちを懸命に取材した調査報道に基づき、社会を動かした勇気ある女性たちとジャーナリストの物語。
『それでも夜は明ける』『ムーンライト』の製作陣が集結。巨大権力に挑んだ2人の女性記者を、2度のアカデミー®主演女優賞ノミネートの『プロミシング・ヤング・ウーマン』のキャリー・マリガンと『ビッグ・シックぼくたちの大いなる目ざめ』のゾーイ・カザンが演じる。
『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』ストーリーは?
ジョディとミーガンは共にアメリカ大手新聞社の一つ、ニューヨーク・タイムズ紙の調査報道記者。大統領選挙から職場環境まで数多くの問題を調査報道し実績を残してきた。そんな中、ハリウッドから大物映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの数十年に及ぶ権力を行使した性的暴行の噂を聞きジョディは調査へと乗り出す。ジョディは産休中で産後うつ気味のミーガンと共に、様々な嫌がらせや生命を脅かされる目にあいながらも懸命に調査を続けるが――。果たして、自身の未来と引き換えに秘密保持契約と多額の示談金で口を封じられた女性たちを説得し記事で告発することはできるのか?
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