10月27日~11月5日に開催された第38回東京国際映画祭。去年は都合がつかず取材に行けなかったのだが、今年はこの吉井和哉さんを追いかけた映画『みらいのうた』の上映があるということで上京することに決めた。40代の私にとってTHE YELLOW MONKEYは青春を彩ってくれたアーティストだし、現在進行形で敬愛するLUNASEAが主催するLUNATIC FEST.にも出演が決まっていたことも大きかった。ドキュメンタリーの撮影が始まった当初の目的とはまったく違う展開、吉井さんの咽頭がんが発覚、そこからの復活に密着することとなった本作。すべての推しのいる人たちに観てほしい作品だ。
東京国際映画祭 映画『みらいのうた』吉井和哉さん、エリザベス宮地監督 舞台挨拶(動画)
推し活の民は推しのお陰で、毎日がとても忙しい(チケット申込み・当落、遠征準備、もちろん推し活資金を稼ぐことでも忙しい)。しかしその忙しい=最高に楽しいのだ。
次に会える時のためにすべてを楽しく乗り切れる。推しの存在は人生に彩りと豊かさを与えてくれる。
私の推しはLUNA SEAだ。
年齢は、ギターのSUGIZOさんとドラムの真矢さんが56歳。
ボーカルのRYUICHIさんとギターのINORANさん、ベースのJさんが55歳。
本作の主人公・吉井和哉さんは59歳で、メジャーデビューはTHE YELLOW MONKEYの方が少しあとのことになる。
映画『みらいのうた』に心惹かれたのは、LUNA SEAとTHE YELLOW MONKEYが同世代のバンドだということ、そして同じくボーカルのRYUICHIさんが肺腺がんを経験し、現在もジストニアの克服を目指しながら音楽活動を積極的に続けていること、ドラムの真矢さんがまさに闘病中であることで、とても他人事とは思えなかったのだ。
本作では吉井さんが復活を目指し、ライブに向けてリハーサルを重ねるも何度も壁にぶち当たる姿が映し出されている。待っていてくれるファンのために少しでも早く復帰したいという焦りも当然ながらある中、よく密着をさせてくれたな―と吉井さんの人柄も伝わってきた。(エリザベス宮地監督の人柄もあいまってだと思う。それは舞台挨拶の動画でご確認を)
東京ドーム公演の様子は本当に素晴らしいのでぜひ映画館で体感してほしい。
そして、先日11月9日、LUNATIC FEST.ではじめて生のTHE YELLOW MONKEYのステージを観ることができた。
映画『みらいのうた』で苦しんでいた吉井さんの姿はなく、本当に素晴らしい歌、素晴らしいパフォーマンスで、レジェンドバンドの凄みと会場の一体感がたまらなかった!観客の一人でいられて幸せでした!(劇中にも登場するバンドメンバーの皆さんも生で観られて嬉しかったです!)
公式HPの吉井さんのコメントに
「人間にはタイムリミット(締め切り)に迫られる瞬間が必ずあります。永遠ではない「命」を無駄にしないためにも、僕と同世代の方にはもちろん、若い方にこそ是非見ていただきたい作品です」
とある。
推しは永遠ではない。そして明日の自分が元気かどうかもわからない。そう、誰にとっても永遠はない。
”推しは推せるときに推せ!”なんて使い古されていて当然の言葉は使わない。
私は自分の愛するものを最優先にとことん愛する!←意味は同じw
この映画はそんな私の決意をさらに強固にしてくれた。
明日ことは分からないけど、未来を感じられた。
エンディング曲「みらいのうた」も素晴らしいので絶対に席を立ってはいけません。
映画『みらいのうた』とは?
1990年代に「JAM」「バラ色の日々」などのヒットで一世を風靡し、独自のグラマラスな世界観と詩的な歌詞で、今も多くの音楽ファンを、魅了する不屈のロックバンド「THE YELLOW MONKEY」。そのボーカルとして深く響く歌詞と圧倒的な存在感で世代を超えて愛されている吉井和哉のミュージシャン人生はベーシストして始まった。「URGH POLICE」のボーカル”ERO”との出会い、当時10代だった吉井はベーシストとして加入したのだ。しかし、音楽性の違いなどからいつしかバンドは自然消滅。その後、吉井はTHE YELLOW MONKEYを結成。EROは静岡に残り、地元で働きながらカントリーミュージックに目覚め、それぞれの音楽の道を歩みながらも、二人は交流を続けていた。

しかし2021年、EROが脳梗塞で倒れた。音楽活動どころか仕事もできなくなってしまったEROのために何かできることはないかと思い、吉井は「URGH POLICE時代の曲を、また一緒にやらないか?」と40年ぶりのセッションの約束。その様子を追ったドキュメンタリーの撮影が始まった。
しかし、撮影開始から数ヶ月後、吉井が喉頭がんになっていることが発覚する一。それでも吉井は、制作作業を続け、試行錯誤の中、ひたすらリハーサルの日々を過ごしていたが、ある決断をする。そしてついに、スタッフ、ファンの祈りが集まった、東京ドームライブの“復活の日”を迎える。
更にライブを終えた約3か月後 吉井は、EROとの約束を果たしに静岡に帰郷する。URGH POLICE以来、40年ぶりのセッションへ準備を進めていくのだった―。

監督を務めるのは、エリザベス宮地。藤井風、back number、BiSH、優里など数々のミュージシャンのドキュメンタリー映像やMusicVideo、そして2024年には俳優・東出昌大の狩猟生活を1年間密着した映画『WILL』など様々な人生を撮り続けている。また同年、2日間で14万人を動員した藤井風の日産スタジアムライブに密着したドキュメント作品「Feelin’ Good (Documentary) 」、SUPER EIGHTの安田章大がアイヌ文化を取材するテレビ番組「Wonder Culture Trip 一FACT一」などが公開。本作でエリザベス宮地監督が捉える“吉井和哉”は、これまでの人生と音楽の結びつきが収められ、本作でしか観られない表情、想いが刻み込まれている。

撮影期間3年以上。吉井が、エリザベス宮地監督を最初に連れて行った場所は、生まれ故郷・静岡だった。幼い頃に亡くした父の思い出、母と幼少期のエピソードについて、今も続く旧友との交流。本作は、“吉井和哉”を形作った人生と音楽のルーツを辿っていく。さらに、病を告知されてから、2024年東京ドームで復活ライブまでの裏側が克明に記録され、宮地監督だからこそ捉える葛藤、不安に向き合いながらも一歩ずつ前進していく姿が映し出されていく。
また本作は、2001年活動休止前の東京ドーム公演の「JAM」、2024年感動的な復活を避げた東京ドーム公演「THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024″SHINE ON”」の「バラ色の日々」「悲しきASIAN BOY」など、熱いライブパフォーマンスも収められている。更に吉井が作詞・作曲・プロデュースを務め、THE YELLOW MONKEYのメンバーが演奏に参加したBiSHのラストシングル「Bye-Bye Show」制作過程や、彼女たちの東京ドーム解散公演、バックステージの様子。そして、早すぎる死に日本のロックファンが悲しみに暮れたチバユウスケという存在、絆についても語られる。『みらいのうた』は、知られざる名曲の裏側にあるこれまでの軌跡を辿ることで、音楽をさらに深く楽しめる一作になっている。
公式HPより
作品概要

タイトル:「みらいのうた」(2025年12月5日全国公開)
出演:吉井和哉 ERO
監督・撮影・編集:エリザベス宮地
ナレーション:小川未祐
製作幹事・配給:murmur
配給協力:ティ・ジョイ
公式HP:https://mirainouta-film.jp/
©2025『みらいのうた』製作委員会



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