2002年に公開された映画『Soundtrack』。
SUGIZOさんは、LUNA SEAの終幕が決まり、葛藤の時期と重なった映画初主演。
ブレイク前の10代の柴咲コウさんの初々しさ。美しき魔物を演じた山口小夜子さんの妖艶さ。
代官山Theater Guildで行われている公開20周年記念上映と二階健監督のトークショーの様子をレポートします✍
公開から20年。『Soundtrack』とはどんな映画?
映画『Soundtrack』とは?ストーリーは?
セマナ国際ファンタスティック映画祭(スペイン)で最優秀撮影監督賞&最優秀脚本賞W受賞。二階健監督・脚本、ミュージシャンのSUGIZOが映画初主演・全編音楽を担当したスピリチュアル・ファンタジー。
ヴァイオリニストの兄・志音(SUGIZO)と童話作家の妹・美砂(柴咲コウ)。幼い頃、目の前で両親を殺害され、そのショックから美砂は声を無くしてしまう。支えあって生きてきた二人だったが、突然の事故で美砂を亡くし、ひとり取り残された志音は悲嘆に暮れ、ヴァイオリンを手にすることもなくなってしまう。そんな志音の前にある日、美砂と瓜二つの少女ミサが現れる。志音は、彼女にヴァイオリンを教えることになるのだが……。
二階健監督は本作『Soundtrack』の他に、『下弦の月~ラスト・クオーター』なども手掛けている一方、HYDEさんなど数々のミュージシャンのMVも制作されています!
映画『Soundtrack』が20年ぶりに上映されるということで、代官山のTheater Guildという何ともオシャレな映画館に行ってきました。どんな映画館かは後ほど触れるとして…
この作品に興味を持ったのはSUGIZOさんが主演だということと、そのSUGIZOさんがヴァイオリニストの役ということで、きっと映像もさることながら音楽が美しいに違いないと期待してのことでした。
鑑賞後の感想は、”浄化された”です!
両親が亡くなり、その後、最愛の妹も失ってしまうという悲しいストーリーで、それに寄り添うヴァイオリンの音色は、主人公の心情を表わすようにずっと憂いを帯びているのですが、ある瞬間から光射すキラキラとした音に変わります。
映像と音楽の美しさが相まって、それまでのすべての苦しみと悲痛を拭う、まさに”浄化”の瞬間でした。
童話「ヘンゼルとグレーテル」のような世界観の中でループする苦悩から、未来へ解き放たれる感覚は、主人公・志音やミサに訪れるだけでなく、観ている私たちも道連れにしてくれた。
昼間の暑さが少し和らいだ、代官山からの帰り道。足取りは軽かった。
二階健監督トークショーで20年前の撮影秘話を聴く
この日は上映後に二階健監督のトークショーがあり大変ラッキーでした。(私がチケットを購入した時点ではトークショーの予定はなかったので)
ブログ掲載許可を監督とTheater Guildさんにいただいたので、貴重なトークショーの様子をレポートしますね!
上映後、グラスを手に二階監督が登場。(Theater Guildはドリンクを飲みながら鑑賞できるスタイル)
客席が静かだったのでトークショーには慣れているという二階監督も少し話しづらそうでした。(司会だったら盛り上げたかったw)
『Soundtrack』は、ちょうどLUNA SEAが終幕した時の作品で、SUGIZOさんにとっては葛藤の時期と重なっていたそう。初めてのお芝居、初めての主演、音楽監督も初めてと、初めて尽くしの中、一緒にイチから頑張ろうと作られたそう。
二階監督は、”SUGIZOから上がってくる曲がどれもドストライクだった”と仰っていて、うんうんと深く頷きました。演技に関しては、撮影前に何日もリハーサルをして作り上げていったそう。
ミュージッククリックのように先に音楽を作って、曲に合わせながら撮影したそうで、音と映像のシンクロを楽しめるようになっているとの話を聞いて、”曲に合わせた映像”だから、より感情が揺さぶられて”浄化”という感覚になったのかもしれないと納得した。
柴咲コウさんは当時18歳くらいで、ブレイク前夜だったそう。雑誌で柴咲さんを見つけ、瞳に惹かれてオファーしたそうです。さすが先見の明がおありです。
魔物を演じた山口小夜子さんとの思い出も。劇中に登場した”舌”は山口さんが持参されたそう。「ロンドンで見つけた」と仰っていたそうで、もうすべてが格好良いですね!
SUGIZOさん演じる志音の少年期を演じた落合モトキさん。私も好きな役者さんですが、二階監督は「あっぱれさんま大先生の頃から知っているけど、やりすぎない芝居が好き」だと。(この翌日には二階監督と落合さんとのトークがあったのですが、行けずに残念。どなたか詳細レポしてくださらないかな?)
客席からの質問にも答えてくれた。20年前は映画音楽に対する認識が雑な時代で音を張り付けたような作品が多かったそうで、そんな中での『Soundtrack』の音へこだわりは二階監督ならではの感性が溢れていると改めて感じた。
二階監督独特のダークファンタジーの世界のルーツのお話も興味深かった。小学校の時には図書室で一番本を借りた生徒で、そのころから童話を読み漁っていたそう。童話には教訓があったり、生々しいリアルな部分を描いてこそなので、トラウマとファンタジーのさじ加減を考えながらの作品制作だったと話してくれた。
また印象的だったのは、SUGIZOさんとスタジオにこもって作業をしていた時、ワールドトレードセンターのテロの映像を見たことで、意識が変わったという話。もっとメッセージを込めたいと考えたそう。トラウマを抱えて生きる人の話だが、闇の中にも光があるはずという思いで、キング牧師の言葉を引用したそう。
劇中の志音と美砂の家の中にある木は、心象風景を表わしているそうです。Theater Guildの中央にも植物のオブジェがあって、「映画の中の世界に似ていますね」と話されていました。確かに『Soundtrack』の上映にぴったりの劇場でしたね。
代官山 Theater Guild の素敵ポイントを解説
Theater Guild(シアターギルド)は東横線・代官山駅から歩いて3分ほど。
海外の街の一角のような建物の1階にありました。
「シアターギルド」は、街の小さな映画館です。居心地のよさを追求した内装設計は、通常の劇場とはまったく異なります。靴を脱いで、カーテンを開けると目の前に現れるメインスクリーンは、サイズ3m×5mの特注4K LEDスクリーン。
入り口付近には1枚板のメインテーブルをはじめ、バーカウンター、大小さまざまな世界の銘品チェアが並びます。壁面にはアート作品の数々を。座る場所は自由。好きな場所で、好きな姿勢で映画を楽しんでいただける特別な空間は、巨大なリビングルームのようです。 (公式HPより)
まさにリビングルームのようなゆったり空間。スクリーンに向かって並べられたソファは様々な大きさ形で、それがまたセンスを伺わせます。
私はスクリーン横の一人掛けソファを選んでみました。スクリーン正面でなくても観やすい配置、体が程よく沈むので無理のない姿勢で堪能できました。
映画のチケットにドリンク代が含まれています。上映する作品によってオリジナルのカクテルも用意されていて、特別感があって嬉しいサービス!私はノンアルコールのFATIMAを選びました🍷
鑑賞はワイヤレスのヘッドホンが配られ、音量調節も自分でできます。音の良さにこだわりのあるヘッドホンなのかは、詳しくないのでわかりませんが、私はボリューム大きめにして美しいSUGIZOさんのヴァイオリンの音色を堪能しました。二階監督は「『Soundtrack』は細かい音も入れているのでヘッドホンだとよく聴こえるのでは?」と話していました。
映画の音以外は遮断され、集中力が増して、映画と自分だけの贅沢時間を過ごせます。この没入感は味わってみてほしいです。
ちなみに、お手洗いは館内にはありませんが、建物2階と地下1階にあるので不便さはありませんでした。
スタッフさんも親切で、ゆったりとした映画体験ができるおすすめの場所です。(名古屋にもこういう映画館欲しい!)
撮影・掲載許可をいただきありがとうございました。また面白そうな企画があればぜひ伺いたいです。
7月も『Soundtrack』の上映があります。
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