第25回 上海国際映画祭で3冠受賞(作品賞、女優賞、脚本賞)、菊地凛子さん主演の映画『658km、陽子の旅』。 菊池さんは意外にも、今作が日本映画の単独主演となる。菊池さんとは『空の穴』(2001年)以来の20年ぶりタッグを組んだ熊切和嘉監督にインタビュー🎤 制作の経緯、菊地さんの役者としての勘について、撮影のこだわりなどをじっくり伺った。動画でご覧ください🎥
映画『658km、陽子の旅』熊切和嘉監督インタビュー🎥
映画『658km、陽子の旅』を解説!
映画『658km、陽子の旅』とは?
夢やぶれて20数年。引きこもり孤立をしていた42歳の陽子。ある日、長年断絶していた父親の葬儀のために、郷里の青森県弘前市に帰ることになる。しかし、帰路の途中、ヒッチハイクをする羽目に…。
TUTAYA CREATOR’S PROGRAM2019脚本部門で審査員特別賞を受賞した室井孝介氏の原案をもとにより深く掘り下げ映画化。
孤独に凝り固まり、他人と関わることに戸惑う陽子を演じるのは菊地凛子。『バベル』(06)で米アカデミー賞®助演女優賞にノミネートされ、その後も『パシフィック・リム』シリーズ等ハリウッドをはじめ海外作品に数多く出演する日本を代表する国際派女優。本作で初めて日本映画の単独主演を飾る。
父親を亡くし、他人と関わらざるを得なくなり、いつしか時が流れてしまったことへの後悔、焦燥感を全編ノーメイク、体当たりで演じている。共演には、竹原ピストル、オダギリジョー、風吹ジュンなど豪華キャストが揃う。
就職氷河期世代の中年期、まさに陽子と同じ時代を生きてきた私自身の胸にも去来するものが多い作品だった。友人関係にも社会での役割にも、大きな変化を経験する年頃だと実感している。例えば、結婚し子育てをする友人と、独身で自由な時間が多い反面、孤独と孤立に不安を覚える自分。それぞれ自分が選んだ道なので間違っていたとは思わないが、ふと振り返ると”あの時ああしていたら”と違う人生が頭をよぎる瞬間もある。そして、自分のことだけ考えていた30代までと大きく違うのは、親や家の問題。当たり前に老いていく親の姿に切なさを覚えるとともに、陽子のように”いつの間にこんなに時間が経ったのか”と後悔の念も襲ってくる。
陽子の658kmの旅路を追いながら、自分の心の奥の澱が少しずつ溶かされていくような、ふと誰かの半生を思い浮かべるような、心揺さぶられるロードムービーだ。
映画『658km、陽子の旅』ストーリーは?
42歳 独身 青森県弘前市出身。人生を諦めなんとなく過ごしてきた就職氷河期世代のフリーター陽子(菊地凛子)は、かつて夢への挑戦を反対され20年以上断絶していた父が突然亡くなった知らせを受ける。従兄の茂(竹原ピストル)とその家族に連れられ、渋々ながら車で弘前へ向かうが、途中のサービスエリアでトラブルを起こした子どもに気を取られた茂一家に置き去りにされてしまう。陽子は弘前に向かうことを逡巡しながらも、所持金がない故にヒッチハイクをすることに。しかし、出棺は明日正午。北上する一夜の旅で出会う人々―毒舌のシングルマザー(黒沢あすか)、人懐こい女の子(見上愛)、怪しいライター(浜野謙太)、心暖かい夫婦(吉澤健、風吹ジュン)、そして立ちはだかるように現れる若き日の父の幻(オダギリジョー)により、陽子の止まっていた心は大きく揺れ動いてゆく。冷たい初冬の東北の風が吹きすさぶ中、はたして陽子は出棺までに実家にたどり着くのか…。
公式HPより
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