コロナ禍で職を失い、ホームレスになる女性を板谷由夏が演じる、映画『夜明けまでバス停で』。
”どうしてこんなことに…”というキャチコピーが、もしかしたら、自分も同じ道をたどる可能性もあるのでは?と、身につまされるストーリーだ。
2020年冬に起きた、幡ヶ谷のバス停で寝泊まりする、あるひとりのホームレスの女性が突然襲われるという事件を元に、『痛くない死に方』の名匠・高橋伴明監督が「社会的孤立」を描く。
名匠・高橋伴明監督に聴く。実際の事件を元にした映画への思いとは?
映画『夜明けまでバス停で』を解説
映画『夜明けまでバス停で』とはどんな映画?
2020年冬。幡ヶ谷のバス停で寝泊まりする、あるひとりのホームレスの女性が、突然襲われてしまう悲劇があった。
非正規雇用や自身の就労年齢により、いつ自分に仕事がなくなるか分からない中、コロナ禍によって更に不安定な就労状況。そして自らが置かれている危機的状況にもかかわらず、人間の「自尊心」がゆえに生じてしまう、助けを求められない人々。
この作品では、もしかしたら明日、誰しもが置かれるかもしれない「社会的孤立」が描かれる。
『痛くない死に方』の名匠・高橋伴明監督の、「今、これを世の中に発信しなければ」という想いに、日本映画が誇るスタッフとキャストが集結。
バス停で寝泊まりするホームレスに転落してしまう主人公・三知子役に『欲望』(2005)以来の映画主演となる板谷由夏、三知子の働く居酒屋の店長に大西礼芳、マネージャーに三浦貴大。石を振り上げる男・工藤武彦役に松浦祐也、居酒屋の同僚役にルビーモレノ、片岡礼子、土居志央梨。ユーチューバー役に柄本佑、三知子のアトリエのオーナーに筒井真理子、介護職員役のあめくみちこ、古参のホームレスに下元史朗、根岸季衣、柄本明と、実力派俳優が勢ぞろいした。
映画『夜明けまでバス停で』のストーリーは?
2020年11月の深夜。大道路沿いにあるバス停の細いベンチに、うつむくように腰をかけ仮眠をとる北林三知子(45)。このところ一気に冷え込むようになり、手持ちのコートではこの先の寒さには耐えられないかもしれない。
そんな三知子に向かってコンビニ袋を下げた男が近づく。男は生垣から石を拾ってコンビニ袋の中に入れるが、三知子はそれには気付いていない。男は三知子のすぐ前で立ち止まり、コンビニ袋を頭上に振り上げた。
三知子は以前まで、焼き鳥屋で住み込みアルバイトとして働いていたが、突然のコロナ禍により仕事と家を同時に失ってしまう。新しい仕事もなく、ファミレスや漫画喫茶も閉まっている。途方に暮れる三知子の目の前には、街灯が照らし暗闇の中そこだけ少し明るくポツリと佇むバス停があった…。
これは、ある日誰にでも起こりうる、日本の社会の危惧すべき現状を描いた物語だ。
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