ライブハウスに行きたい
「体温の上昇が 伝わっている気がして…」
タイトルと同名の主題歌「さよならくちびる」
作詞作曲はシンガーソングライターの秦基博さん。
さすが秦キュン。(私は勝手に秦さんのことをこう呼んでいる。お会いしたことも無いです。)
『さよならくちびる』を観てからずっと口ずさんでいる。口ずさんでしまう。
“さよならくちびる”なんて感情はこれまで持ったことがないから、自分の中で沸き上がってくるものは無いはずなのに、この曲を聴くと目頭が熱くなる。
秦キュンのメロディと歌詞はいつもそう。
音楽映画として、そこですでに成功していると思う。
それに加えて、あいみょんさんの挿入歌。
「たちまち嵐」と「誰にだって訳がある」
主人公たちが劇中のライブシーンで何度も歌う。
最初より、次の方が、さらにまた次の方が、この曲たちを好きになる。
ストーリーが深まるに連れ、なので当たり前かもしれないけど、あいみょんさんの曲はクセになる。
以前に音楽番組に出演して曲作りについてあいみょんさんが話していた。
“映画のタイアップ曲を勝手に作っている”とか“官能小説は表現の勉強になる”とか“近所迷惑にならないように朝作る”とか。
あ、天才!というエピソード満載で、ますます興味がわいた。
劇中の挿入歌も作品に寄り添いつつ、全国各地の味のあるライブハウスで歌うのにぴったりの雰囲気の曲たちだった。
ライブハウスに行きたい。
最近はドーム、アリーナ、ホール、日本武道館、大きな箱ばかりだったので地元のライブハウスで音楽に体をあずけたい、今そんな気分。
ハルレオとシマ
小松菜奈さん演じるレオ、門脇麦さん演じるハルが、インディーズのデュオ“ハルレオ”を演じる本作。
2人の雰囲気最悪のシーンから物語が始まる。
“ハルレオ”は付き人のシマ(成田凌さん)とともに、解散ツアーに出る。
ツアー先の各地(浜松、三重、大阪、新潟、山形、青森、函館)でライブを行うにつれ、二人の出会いや、シマが加わり関係がどう変わっていったか、なぜ解散することになってしまったかが紐解かれるロードムービー。
これまでの私の中のイメージは、ハルとレオは小松さん、門脇さん、逆のイメージだった。
男の趣味も悪く、何かと問題を起こすレオ。
本当の気持ちを押し込めて、音楽だけが自分を表現できる場のハル。
作品を観てから思うのは、ふたりはベストなキャスティングだったということ。
そして、シマを演じる成田凌さんは、元ホストで二人に振り回されるローディーという、ちょっとどうしようもない男を演じるのがうまい。(シマは過去から立ち直ろうとしていて、どうしようもないけど魅力的な部分もある。)
『愛がなんだ』のマモちゃんとは違うクズ男感。今こういう役が一番うまいのは成田さんじゃないかなと改めて思う。(ご本人はちょっとお話した感じ、演技に対して超マジメだと思う。そして言わずもがなのイケメン。
3人のバランスは昔でいうドリカム状態。の逆バージョン、女2:男1。
LGBTの問題もサラリと取り入れる、今の世の中に溶け込む内容。
“もうそんなこと問題にもならない”といった加減が心地よい。
気負わず観られるのに、しっかり残る作品。
ハルレオ、ラストライブの「さよならくちびる」は泣けた。