9月8日(金)公開の映画『ほつれる』。
いま演劇界で注目を集める気鋭の演出家・加藤拓也監督の作品をまだ観たことが無いという方… もったいないことをしています!
主演・門脇麦さんと加藤監督にインタビューをさせてもらいました。 この動画を見てから映画を観たら、きっといい意味で裏切られると思いますよ!
映画『ほつれる』に、私たちの心は「ほつれさせられる」
加藤拓也監督の作品…前作の『わたし達はおとな』、そして最新作『ほつれる』を拝見し、感想を述べようとするとき、自分の表現力と語彙力の無さに打ちひしがれる。
とにかく「すごいものを観た」「セリフがリアルすぎた」とか、陳腐な感想になってしまい、”いや!そうじゃない!この作品の面白さの1%も表わせていない!”と頭を掻きむしりたくなる。
今作の主人公・綿子は夫と暮らしながらもうまくいっておらず、家庭内別居に近い生活。その心の隙間を埋めるように不倫相手の木村と逢瀬を重ねる。そして、突然の木村の死…。
私は結婚もしていないし、綿子の思いなんて1㎜も分かるはずがない。
でも、加藤監督特有の台詞まわしにどこか既視感を覚えている自分が居る。
リアルなセリフというより、その場に自分が立たされて、夫に責め立てられているような不思議な感覚。
映像美や派手なアクションが売りの映画の”臨場感”とはまた違う…”その場に居たくないのに居させられる感”とでもいうのか…。
居心地が悪すぎてもう観たくないのに、本能的に欲してしまう媚薬のような作用を感じる。
恐ろしいです、加藤監督。そしてその脚本を演じきる役者の皆さんも。
門脇さん演じる綿子の夫・文則、物語が進むにつれ文則に対しての胃がムカムカが抑えられなくなる。
喋り方も何もかもイヤー!と思わせる田村健太郎さん、もはや大ファンです!
黒木華さんが演じた綿子の親友・英梨の佇まいにも、実は怖さを感じている。あの人実はすごく怖い(かもしれない)。
突然亡くなってしまう恋人の木村。冒頭に姿を消す役なのに、ずっとそこに居るかのような…染谷将太さんの持つ独特の存在感が欠かせない。
そして、その物語に寄り添う穏やかならざる音楽は映画「ドライブ・マイ・カー」も担当した石橋英子さん。
映像と台詞と音がいつまでも心にこだまする作品です。
門脇さんいわく、俳優仲間は皆「加藤さんの作品に出たい」と言っているそう。
さらに「映画『ほつれる』を観ずに映画好きは語れない」とトークイベントで声を大にしていた。
今回は、加藤拓也監督と主人公・綿子を演じた門脇麦さんにインタビューさせてもらいました。
天才と天才が掛け合わさるとこういう会話になるのか…と超凡人の私は二人に翻弄されっぱなしでした(笑)。
第67回岸田國士戯曲賞を受賞した加藤監督の「ドードーが落下する」「綿子はもつれる」
二つの舞台の戯曲本を読むと、より深くお二人の会話の意味が分かると思います。
息遣いや喋り出しまで、とにかく緻密。
門脇麦さん、加藤拓也監督 インタビュー🎤
映画『ほつれる』を解説!
映画『ほつれる』とは?
冷め切った夫婦生活、束の間の安らぎをくれる恋人。曖昧な関係を続けつつ、このままでいいと思っていた綿子。そんなある日、目の前で恋人が死んだ…。
夫と恋人、どちらにも寄り掛かることができず、揺れる心を抱えた彼女はある行動に出る。
主演をつとめるのは話題作への出演が続く実力派俳優・門脇麦。揺れる気持ちを抱える主人公・綿子の心の機微を繊細に演じる。綿子の夫・文則役には舞台・映画・ドラマとマルチに活躍する田村健太郎。綿子の恋人・木村を染谷将太、綿子の親友・英梨を黒木華が演じ、絡み合う人間模様を描き出している。
監督は、第30回読売演劇大賞優秀演出家賞、第67回岸田國士戯曲賞を受賞するなど演劇界で注目を集める気鋭の演出家・加藤拓也。前作、初長編監督をつとめた映画『わたし達はおとな』を経て、加藤の最大の特徴ともいえるリアリティ溢れる台詞まわしは観る者の心を搔き乱す。
映画『ほつれる』ストーリーは?
綿子と夫・文則の関係は冷めきっていた。綿子は友人の紹介で知り合った木村と頻繁に会うようになっていたが、あるとき木村は綿子の目の前で事故に遭い、帰らぬ人となってしまう。
心の支えとなっていた木村の死を受け入れることができないまま、変わらない日常を過ごす綿子。
揺れ動く心を抱え、木村との思い出の地をたどる…。過去を振り返るうち、綿子は夫や周囲の人々、そして自分自身と、ゆっくりと対峙していくことになる…。
公式より
コメント