先日、名古屋の伏見ミリオン座で行われた「メ~テレシネマ映画祭」。
映画『あん』の原作者・ドリアン助川さんが語った樹木希林さんとの思い出とは?
原作者の声をきく
これまで有難いことに、インタビューや舞台挨拶などでたくさんの監督さんや俳優さんのお話を聴かせてもらってきた。
しかし、人気小説・コミックなどが映画化されることが多い中、なかなか原作者の方にお話を聴く機会はない。
過去に一度だけ、映画『植物図鑑』の舞台挨拶司会をさせてもらった時、有川浩先生も登壇されたため、実際にお会いし、お話しできた時は感激以上の感激だった。(もともとファンでした)
植物図鑑 (幻冬舎文庫) [ 有川浩 ]
とはいえ、有川先生とのお話しできたのは、監督さん、俳優さんがいらっしゃる中での舞台でのトークだったため、ほんのわずかな時間。
ということで、今回ほぼ初めて、映画『あん』原作のドリアン助川さんと30分トークできるとあって心躍りました!
樹木希林さん、最後の主演作となった映画『あん』。
原作の創作秘話、ご苦労。映画化に向けての河瀨直美監督へのアプローチなど、たっぷり伺いました。
原作本を読むべき理由
映画『あん』は公開当時観ていたし、公開記念の特番のナレーションを担当したこともあり、とても印象深い作品だ。
特番では撮影の裏側などが描かれ、樹木さんと河瀬監督のやりとりはいまも心に残っている。
とあるシーンで、樹木さん演じる”徳江さん”が木にもたれかかるのだが、その木から蒸気のような湯気のような白い靄が立ち上っていた。
メイキングによると、それは演出ではなく、樹木さんが偶然見つけて、慌てて監督やカメラマンさんを呼び寄せ撮影されたものだった。
何とも幻想的、神秘的。
”徳江さん”の語りと相まって、涙があふれるシーンだった。
原作にこのような描写はない。
しかし、ドリアン助川さんが表現した言葉と、そのシーンはまさにリンクしていた。
映画を先に観て原作を読むと、そんなシーンは映画にはなかったのに、樹木さんの”徳江さん”、市原悦子さん演じる”佳子さん”が、頭の中で動きだす。笑いかける。
ハンセン病を罹患し、隔離された方たちの暮らしや思いはいかばかりか…。原作をじっくりと読むことでより深く知ることができて本当に良かった思う。(原作を読んで泣きすぎて翌日の顔はひどかった)
原作は原作で、決して映画の補完ではないが、私はどちらも観る、読むことを強くお勧めする。
あん (ポプラ文庫 日本文学 266) [ ドリアン助川 ]
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